港湾工事においては、日々の業務が天候や潮位の影響を強く受けるため、作業はその日の条件に合わせて柔軟に計画・実施されます。毎朝、現場では作業開始前に朝礼を行い、その日の作業内容や注意事項を共有するとともに、危険予知活動(KY活動)を通じて安全意識の徹底が図られます。また、使用する重機や船舶の点検、作業区域の確認、潮位や天候の確認もこの時間帯に実施されます。作業が始まると、まずは正確な施工位置を確認するための測量や位置出し作業が行われます。これにはトータルステーションやGNSS(GPS)などの測量機器が用いられ、水上や水中での施工精度を確保するための重要な工程となります。
実際の施工では、工事の種類に応じて様々な作業が行われます。例えば、岸壁や防波堤などの構造物を築造する場合には、ケーソンや消波ブロックの据え付け作業が行われ、潜水士が水中で位置や状態を確認することもあります。
施工中は、品質管理の一環として施工状況の写真撮影や出来形の確認、作業記録の作成が随時行われます。これらの記録は、後の検査や竣工書類の作成において重要な役割を果たします。
午後も引き続き作業が行われますが、進捗や潮位の状況によっては作業内容が調整されることもあります。作業終了後は、重機や資材の片付け、現場の清掃を行い、終礼にて翌日の予定や反省点、安全面での注意事項などを共有してから終わります。
港湾工事とは、船舶が安全に出入りし、貨物や人の輸送が円滑に行えるようにするための港の整備・建設を行う仕事です。私たちの暮らしを支える物流の拠点である港をつくることは、社会全体の基盤づくりに直結しています。
主な作業には、防波堤や護岸といった構造物の築造、港の水深を確保するしゅんせつ作業(海底の土砂の掘削)、埋立地の造成、岸壁や桟橋の建設・補修などがあります。工事は海という特殊な環境で行われるため、波や潮の満ち引き、気象条件などに常に注意を払いながら、安全かつ確実に作業を進めていく必要があります。
また、港湾工事には大型の重機やクレーン船、潜水作業といった専門的な技術が多く求められるため、土木技術者としての知識や経験を積みながら成長していける環境でもあります。
単なる「モノづくり」ではなく、人や物の流れを支え、地域の経済や防災にも貢献できる。それが、港湾工事の仕事の大きな魅力です。